経済成長(人口減少・生産性停滞の場合)

人口減少が継続し、生産性が停滞した場合には、2040年代以降マイナス成長となると見込まれる。2010年代に米国の7割程度の水準にある一人当たり実質GDPは、2050年代には米国の6割程度まで低下する。社会保障を支えるための家計の潜在的負担(財政赤字による将来的な負担も含めて考えた負担)が、所得の半分を超すなど、厳しい状況が続く。また、所得の伸びが低迷することから、現役一世帯当たりの実質消費増加率が2050年代までには現在の半分程度まで落ちるなど、生活水準の向上を期待することが難しくなる。さらに、この場合には、人口・経済相互が負の影響を与え合う「縮小スパイラル」に陥ってしまうリスクがある。これは、人口減少により、生産を決める要素である、労働、資本、生産性のすべてがマイナスに寄与し、そして経済が縮小することがさらに人口に減少圧力をかけ、この負の連鎖が続く状態である。このリスクが現実のものとなった場合、生活水準の低下は避けられないことになる。